『10年後に食える仕事食えない仕事』 渡邉正裕
■ グローバル化によって、究極的に世界は「一物一価」へと移りゆく
■ ブラックホールのように「重力の世界」へと引き込まれる仕事が増えている
■ ユニクロやパナソニックは新卒採用の8割を外国人にしている、海外展開強化を目指している。
■ IT化に伴い、仕事をまるごと海外に委託する「オフショアリング」「グローバルアウトソーシング」が進んでいる。
■ 中国は一人っ子政策のため、親の期待を一身に背負って留学してきているので、ハングリー精神旺盛で日本の若者には太刀打ちできない
■ 戦略的アウトソーシングと銘打って、アクセンチュアは顧客のIT関連業務を丸ごと中国の大連などへ一括移管を勧めている。
■ 97年のアジア通過危機を境に小さな国内市場に見切りをつけた韓国企業とは違い、日本の市場は巨大で1400兆円もの個人金融資産を持った1億人以上の人口がいるのだ。五十年後の人口は8300万人程になる
■ 中国・インドの弱みは、①超格差社会の容認 ②半年~1年で転職する短視眼的キャリア志向 ③チームワークには意義を見出さない個人主義 ④顧客サービス概念がない
■ 日本の強みは、①チームワーク力 → 生産管理職は今後も有力 ②サービス力 → テーマパーク、ホテル、旅館の経営も有力
■ 重力の世界とは、①IT化で瞬時に海外移転する職業 ②徐々に海外移転してゆく職業 ③海外移転しないが、国内で徐々に外国人に置き換わっていく職業
■ 中国大連の日本人向けコールセンターでは、テクニカルエンジニア、正社員、実労8時間で月給5万5000円 時給だと370円である
■ 海外移転はしないが、外国人に入れ替わる仕事とは、クリーニング工場やパン、菓子工場は日本に残る、中国から輸入するには時間がかかりすぎるから。また、印刷、製本も輸送コストが掛かりすぎるため、工場は残るが日本人である必要はない。
■ ジャパンプレミアム分野は、技能集約的であり、独自カルチャー依存、チームワーク&サービス、信用&コミュニケーション、ハイレベル日本語、国による参入規制があることが条件 例えば、公務員、教員、自衛隊、保育士、熟練技能士、ケアマネージャー、住宅営業、美容師、保険証券セールス、銀行営業、寿司職人、日本食料理人等
■ 「グローカル」分野は、日本市場のプロとして生きてゆけるエリアである。官僚、政治家、弁護士、医師、税理士、建築し、翻訳家、教育者、グローバル営業、高付加価値品の開発者、薬剤師、不動産鑑定士等
■ 中国では、自分で考える教育を受けておらず、すべて中国共産党の一方通行教育になっている。だから、二言目には「じゃーいったいどうすればいいですか?」と言ってくる。
■ 飲食で中国に進出して成功するには、現地のスタッフ、店長を遣っとった方がいい、平気で「無茶付け」をする、このお客は金を持っていると思えば、定価など考えず無茶付けをする。見栄を張るので8人ぐらいで来れば、「一番高いやつを!」なんている注文を平気でする。このへんのサジ加減は日本人の店長には出来ない。
■ 日本のR&Dの現場では、ドライなビジネス感覚ではなく、終身雇用で社員が簡単に辞めないためノウハウや技術は蓄積されるが、オタク趣味で、オーバースペックによる高コスト体質やマーケット無視の製品開発がなされたりする。
■ 中国に進出した楽天は、イマイチ成果が出ていない「まず、クレジットカードが使えない、中国の商習慣では、サイトで商品を探し、チャットなどで価格交渉をして、最後に商品と引き換えにお金を払うのでサイトで取引成立しても資金を回収できない」
とにかく、日本人であるメリットを活かせる仕事で、「土地」「言葉」「サービス」に関する仕事以外は、グローバル化の波の飲まれてしまうという事だ。賃金は中国、インドのレベルまで引き下げされる、海外へのアウトソーシングや研修、留学生、不法移民などで、やる気のない若者には働く場所はなくなる。正社員が派遣に入れ替わったぐらいでは済まないレベルになる。